「なにかおもしろいことないかなぁ？」
　大空を散歩中のシーモアは、そんなことを思いながら下をみおろしました。
　けれどもおもしろそうなことはなかなか見つかりません。
　上ではおひさまがぽかぽか顔をだしています。

　しばらく散歩を続けていたシーモアは、一人の人間を見つけました。
「あっ、人間さんだぁ」
　シーモアは嬉しそうにその人間の元へと降りていきました。
　人間もシーモアの姿を見つけたらしく手を振っています。

「こんにちわぁ、人間さん」
「はい、こんにちわ。かわいいかわいい妖精さん」
　人間は胸ポケットから飴玉を取り出すと、それをシーモアに渡しました。
「わ〜い！ありがと〜♪」
　シーモアはお礼をいって、その飴玉を口の中にいれました。

「ねえ人間さん、今日は何をしにきたの？」
「今日かい？今日はおもしろいものを撮影しにきたんだよ」
「おもしろいもの？」
「そうさ。あれだよ」
　そう言って人間は、おひさまをゆびさしました。
「おひさま？」
　シーモアにはなにがおもしろいのかさっぱりわかりません。

「おひさまの写真がそんなにおもしろいの？」
　不思議に思ったシーモアは、人間にそう聞きました。
　すると人間は笑いながら答えました。
「とってもおもしろいよ。だってあのお空の向こうには、僕達の知らない世界があるんだから」
「え〜？そんな世界があるの？」
　シーモアはとってもビックリしました。
　だってお空の向こうに違う世界があるなんて考えたこともなかったからです。

「そうなんだ。知らなかった〜。ねえねえ、わたしにも行けるかなぁ？」
「ちょっと無理じゃないかなぁ？その羽が溶けて飛べなくなっちゃうよ？」
「え〜？そんなのイヤだよぉ！」
　シーモアは慌てて羽を隠しました。
「でもぉ……ちょっとは行ってみたいかも」
　そして、そんなことを思いながら空を見上げました。
　おひさまはぽかぽか顔をだしています。
　シーモアはまたひとつ物知りになったような気がしました。