ふぅ・・・流石にこの季節ともなると結構寒くなってくるな。
　立ち読みしに出てきたはいいけど、もう少し厚着して来ればよかったかも。
　コンビニにでも寄ってなんか買ってくかな・・・ん？

柚子「♪」

　アレは柚子ちゃんではないか。手に持っているのは・・・焼芋、かな？
　そう言えばもうそんな季節なんだよな。この前まで地獄のような暑さが続いていたと思ったけど・・・時が過ぎるのって早いよな。

真人「やぁ、柚子ちゃん」
柚子「きゃ！？　・・・ふ、古閑先輩！？」


　　


真人「ごめん。　驚かせちゃった？」
柚子「いいい、いえ、そ、そんな、こと、ないです・・・」

　・・・相変わらず、この子はハデに驚くなぁ。ちょっと声をかけただけなのに。

真人「焼芋、好きなんだ？」
柚子「えええ、えっと、あの、これは・・・」
真人「おいしいよね。　石焼き芋って」
柚子「えっ？」
真人「焼芋買うと冬が近いなーって感じがするよね。　季節の風物詩っていうか。　俺は好きだけど、柚子ちゃんも好きでしょ？」
柚子「はい！！　大好きです！！」

　やっと笑顔になったよ。この子も極度な緊張症さえなければ・・・っていうか、それを少しくらい沙夜姫先輩や芹里香に分けてやってもいいような気がするぜ、ホントに。

柚子「あ、あの・・・」
真人「ん？　どうしたの？」
柚子「あっ、いえ、なんでも、ないです・・・」
真人「ひょっとして、買い物の途中だった？」
柚子「あっ、は、はい・・・」
真人「それじゃあ、そのおいもが冷めないうちに帰らないとね」
柚子「は、はい・・・それじゃあ古閑先輩、失礼します」
真人「じゃあね、柚子ちゃん」
柚子「し、失礼します！！」

　どうしたんだろ？なんだかやけに寂しそうだったけど。
　・・・ま、いっか。気のせい気のせい。
　さーて、俺も焼きいも買って帰るかな。

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