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「やっほー灯夜君」 まるで奇遇ねと言わんばかりに、神楽が僕の前に現れたのは、麗らかな春の土曜の昼下がりのことであった。 「……さようなら」 「あっ！？ちょっと待ちなさいよ！！」 一目散に退散しようとする僕を、神楽は呼び止める。 「いきなり人を見るなり逃げ出そうとするなんて、なんて失礼な人なの！？」 そして神楽は、まるで殺気を漂わせているかのようなとってもおっかない視線で僕のことを睨んだ。 「だって……どうせまたゲーセンの特訓にでも付き合わせるんでしょ？」 僕はうんざりしながらその理由を答える。 成り行きとはいえ、この前神楽に無理やり付き合わされてゲーセン三昧な時間を過ごすハメになったし。 おかげで筋肉痛になってどれほどヒドイ目にあったことか…… 「違うわよ」 けれども神楽は首を横に振ると、にっこりと微笑んだ。 「この前のお礼。よかったら一緒にクレープ食べに行かない？」 「クレープ？」 僕はその言葉に一瞬驚きを覚えたけど、すぐにあることに気がついた。 「……ひょっとして、僕におごれっていうの？」 「えへへ……やっぱりバレちゃった？」 神楽は悪戯っぽく笑いながら舌をぺろっとだす。 「この前見つけたクレープ屋に、新作メニューが加わったっていうんだもん。だから灯夜君と一緒に食べに行きたいなぁ〜って」 「クレープ屋ねぇ……」 っていうことはカップルとかが多いんだろうなぁきっと…… でも、神楽の誘いを断わったら後でどんな目に合うかわからないし…… 「わかったよ」 僕は神楽の誘いを受けることにした。 「ホント！？さっすが灯夜君！話がわかるぅ！！」 神楽は心底嬉しそうに微笑む。 まぁ……たまにはいいかな？ 僕は釈然としない気持ちになりながらも、神楽の笑顔にどこか嬉しい幸せな気分になるのであった。 |
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