Ｄ−６ブースは、実演販売とは違って、産地直送の駅弁を販売しているところである。

　そのため幾重にも人垣ができ、人気駅弁は到着するそばからはけていってあっというまに売り切れとなっていた。

　テレビの取材もきている。それがさらに混雑に輪をかけていた。

　人々が待っているのは前回駅弁対決で一躍名をはせることになった大館の『鶏めし弁当』。しかしシェラ達が待っていたのは、同じ秋田県は秋田新幹線の、秋田駅で売られている『稲庭割子弁当』（８００円）であった。

　今現在讃岐うどんブームが世を席巻しているが、シェラは稲庭うどんこそうどんの中で一番だと信じて疑わなかった。

　稲庭割子弁当は海老天、イクラ、とろろ昆布、錦糸たまごなどの具材が、一口サイズの稲庭うどんにのっかっている。

　早く食べてみたい。シェラはそう思ったが、その願いは待ちぼうけ状態になっていた。

　時刻は１２時３０分。予定到着時刻の１１時３０分を既に１時間も過ぎている。

「おそいなぁ……」

「仕方ないわよ。こればっかりは」

「そうなんだけど……あっ！！」

　待つこそ１時間３０分。奥からダンボールが運ばれてきた。

　しっかりと『稲庭割子弁当』の文字が書かれている。

「ひとつくださーい！！」

　シェラは人垣を書き分けて、現金と引き換えに駅弁を受け取った。

「エヘヘ。稲庭割子弁当、ゲット♪」

「よかったわね。それじゃあ、いよいよラスト、行くわよ」

「はーい」

　そして二人は、Ｂ−３ブースへと向かった。