７号車は予想以上にすいており、シェラの他に４人が乗っているだけであった。

「うわぁ……これ、ちょっと空き過ぎじゃない？」

　シェラは人事ながら不安を覚え、席に座った。

　そしてミスタードーナツで買ってきたドーナツをおいしそうに頬張る。

「二本木までどれくらいでつくんだろう？」

　やがて電車が動きだした。

　車窓の景色が、ゆっくりゆっくりと流れていく。

　少し立つと、車内アナウンスが流れてきた。

「この列車は妙高３号直江津行きです。なお、最後尾の７号車は座席指定車両となっております」

「ぶっ！！」

　その言葉を聞いた瞬間、シェラは食べていたドーナツを吐き出しそうになった。

　指定席の札は取り外し忘れたものではなく、本当に指定席を表しているものだったのだ。

「わ、わわわ！！」

　シェラは慌てて荷物をとるや、前の車両に移動した。

　６号車は７号車とは比べ物にならないほど混雑しており、騒がしい。

　シェラはそれでも空いてる席を見つけるや、窓側の席に座ってシェイクをトレイの上に置いた。

　そしてホッと溜息をついた。

「ビックリしたぁ……何で普通列車に指定席があるんだよぉ……」

　普通列車に特急として使われていた車両を使ってること自体既に豪華なことではあるのだが、それでも普通列車に指定席は聞いたことがなかったので、シェラは驚きを覚えずにはいられなかった。第一、何故指定席を設ける必要があるのか、とても理解に苦しんでしまう。

「あー、恥ずかしかった」

　シェラは顔を赤らめながら、シェイクをチューチューと吸い上げた。