やがて妙高は二本木に着いた。

「よいしょっと」

　シェラはいそいそとホームに降りる。

　妙高はバックして行ったかと思うと、もう一方の線路へと進路を変更して走り去っていった。

　どうやらこの駅は全国でも珍しい、スイッチバック方式を採用しているらしい。

　しかし、特急（だった）クラスの電車が停車するとなると、全国でもこの駅だけではないだろうか。

「うーん……ちょっと遠くまで来たかな」

　シェラは大きく伸びをして空を見上げた。

　空は今にも雨か雪が降り出しそうな、ぐずつき模様だ。

「早く帰りたいから、さっさと行ってこよっと」

　シェラは前の男の後についていくように、階段を下りて地下通路を歩いていく。

　突然、足元がつるんと滑った。

「わわわっ！？」

　バランスを崩したシェラはこらえきれず、そのまま尻餅をつく。

「イタタ……」

「大丈夫か？」

「う、うん……大丈夫」

　シェラは涙目になりながら立ち上がる。

「こんなところで滑るなんて……ついてないかも……」

「そうか？俺はついてたけどな」

「どうして？」

「シェラの今日の下着の色は白、っと」

「！！」

　途端にシェラはスカートの裾を押さえ、顔を真っ赤にして相手を睨む。

「ロジャーのエッチ！！」

「不可抗力だ。気にするな」

　ロジャーは愉快そうに笑いながら先へと歩いて行ってしまった。