このお話は暇を持て余した筆者がどうせなら時間を有効に使おうと、その昔高校時代に読んだ民話を思い出して訪ねてみた時のものです。

　旅案内は、いつものようにシェラ……うっ？

「…………（にこにこ）」

　ど、どうしたんだシェラ？にやけた顔なんかしやがって……

「ほらほら、湖さん。そんなところに立ってちゃ疲れるでしょ？はい、ここに座って」

　えっ？あ、ああ……

「はい、湖さん。おやつのチョコパ。あ、肩とかこってない？ボク、揉んであげるよ」

　い、いや別にこってないけど……っていうか、ホントにどうしたんだ？

「遠慮しなくていいから。はい♪」

　あ、ああ。悪いな。……あー、そこ気持ちいいかも。

「うわぁすっごくこってるよ。今までご苦労様♪」

　ご苦労様？

「ボク、今まで湖さんのこと誤解してたよ。なんて意地悪で意地汚くて自己中心的な人なんだろうって思ってたけど。湖さん、誤解しててごめんね」

　お前……俺のことをそんな風に思ってたのか……って、本当に一体どうしちゃったんだ？

「またまたー惚けちゃって。ボク、ちゃんと知ってるんだから」

　知ってる？何を？

「湖さんが書き始めた新作長編小説の『あの線路の向こうに・・・』に登場するゴウカンちゃんって、ボクのことなんでしょ？」

　はいっ！？

「もう、そんなに大げさに驚いたフリしなくっても大丈夫だよ。ボクちゃーんとわかってるんだから。合歓ちゃんって、どっからどうみてもボクそのものだもんね。『ゴウカン』ちゃんなんて愛称はちょっとアレだけど。物語の最後で転生して真の姿になるんでしょ？ボクもいよいよメジャーデビューかぁー」

　……そうなの？

「えっ！？違うの……？」

　正直、初耳だ。そんな設定今初めて聞いたぞ。

「……………………」

　……………………

「……………………」

　あ、おい？それって俺のチョコパじゃなかったのか？

「これはボクのおやつだもん！！」

　勝手に勘違いしたのに、何怒ってるんだか……それ食べ終わったらちゃんと行って来いよ？

「わかってるよそれくらい！！」

　おーこわ……まったく、ゴウカンちゃんは怒りっぽくてかなわんなぁ……

「あーっ！！やっぱりボクのことなんだー！！湖さんの意地悪ー！！」（ポカポカポカポカ）