やがて時間が経過し、電車は甲府駅を後にして再び走り始めた。

　塩山、大槻と通過し、相模湖を横目に一路新宿へと向かう。

　そして目的地である八王子に到着する旨の車内アナウンスが流れた。

「や、やっとついたぁ……」

　２席分使って横になっていたシェラはムクリと起き上がると、いそいそと荷物をまとめ始める。

　そして八王子に到着し、電車を下りた。時刻は午前４時。

　実に５時間の長旅である。これでは鈍行を使ってるのと代わらない。

「ただいまー。八玉子」

　シェラは大きく伸びをすると、家に帰るために、改札を抜けて外に出て、白み始めた空のもと、京王八王子駅へと向かうのであった。