呑気に写真撮影なぞにうつつを抜かしていた二人であったが、目の前に現れた現実に、ただただ頭を抱えるしかなかった。

「なんだよこれ……」

「これが秘境駅と呼ばれる所以じゃないですか？」

「ギャグで作ってるとしか思えないよ」

「本当に……」

　二人は同時にため息をつく。

　二人の前には、果てしなく続く階段の道が立ちはだかっていた。

　その段数、460段以上。これはビルの約１０階分の高さに相当する。

　それを上らないといけないかと思うと、憂鬱な気分にさえなる。

　入り口付近には「ようこそモグラの駅へ」という案内板が掲げられていた。

　この階段も当初はエスカレーターを設置する予定があったのだろう。

　左側は不自然な形で整地され、地下水が流れている。

「それじゃあ上ろっか」

「はい」

　シェラとレイアは階段を上り始めた。