今まで中を歩いていたのでわからなかったが、外は猛吹雪だったのである。
「な、なんだよこれ！！」
シェラはすぐさま駅舎の中に引き返すと、携帯電話をとりだしメールを打ち始めた。
「『外は猛吹雪でした。助けて。死にそう』」
「大げさ過ぎますよ」
「大げさじゃないもん！！」
シェラはメールを送信し、自販機でホットのコーヒーを購入すると、一気にがぶ飲みする。
「ふわぁ……生き返った……」
そして恨めしそうに外を見た。
「駅舎を出ると、外は猛吹雪でした。聞いてないよこんな展開」
「まぁ仕方ないですよ。諦めましょう」
レイアもホットのコーンポタージュを飲みながら外を眺める。
ちなみに、ここ土合は川端康成の小説「雪国」の、一番最初に出てくる駅舎である。
トンネルを抜けると、そこは雪国であった。
あまりにも有名過ぎるフレーズが、シェラの頭の中にいつまでも響き渡っていた。