久喜で降りたシェラは、東武東上線の改札を抜け、東武鉄道のホームへと降りて行った。

　目的地までは東鷲宮よりも鷲宮の方が近いからである。

「さて……と」

　シェラはおもむろに携帯の番号をプッシュして、耳に当てた。

　数回のコール音が響いた後、受話器の向こうから眠たそうな声が聞こえてくる。

「ふわぁ〜い……もしもし……」

「やっぴーイリス。ボクだよ。シェラ」

「なによぉ……こんな時間にぃ……」

「ダメだなー。そんなんじゃ。もうお日様は高く上ってるよ？そんな不健康な生活送ってると、また太っちゃうよ？」

「余計なお世話よぉ……」

「あ、電車来ちゃった。それじゃーね」

「ふぁーい……」

　一方的に電話を切ると、シェラはやってきた普通館林行きの電車に乗り込んだ。