「柚子ちゃん、着いたみたいだよ」
「うん」
シェラと柚子は降りる支度をして、席を立つ。
そして特急を降りた二人は、唖然とした。
何もないのである。
ビックリするほどに。
「ここ……特急止まる駅だよね？」
シェラは念のために駅名を確認する。
そこには確かに、『成東』と書かれていた。
「……うーん……総武本線と東金線の分岐駅だから、新前橋みたいなものかな？」
とりあえず、身近な駅を例に出し、納得してみることにする。
「ねぇねぇシェラねぇ、こんなにおっきな土地あったら、お菓子屋さんいーっぱいできるよねー」
柚子の子供らしい言葉に、シェラは優しく頭をなでる。
「そうだね。とりあえず、駅出てみよっか」
「うん」
シェラは柚子の手を引いて、改札を出たのであった。
ちなみに、その日メネラスさんは仕事中で、結局会えず終いだったという。