「ご主人様ぁ。今日のお夕食なんですが……」
「夕食？」
「はい。ちょっとまだ準備ができてないんで遅くなりそうなんですぅ」
　エイミーは申し訳なさそうに言った。
　どうやら本人も夢中になって書庫の掃除をしていたようだ。
「そんなことか。気にしなくってもいいぞ」
「でも……」
「いいっていいって。いつもエイミーだって大変だろ？たまには外食でもするか？」
「ホ、ホントですかぁ！？」
「ああ。エイミーだって掃除を頑張ってくれたようだし、たまには好きな物腹一杯食べたいしな」
「ええっ！？」
　その言葉を聞いたエイミーは、何故か顔が真っ赤になってしまった。
「どうしたんだ？」
　俺が不思議そうに尋ねるとエイミーはモジモジしながら答えた。
「だ、だってご主人様，今エイミーのこと食べたいって……」
「はぁ！？」
　あまりも突拍子の無い答えに、俺は唖然としてしまった。
「ご主人様がそんなに大胆な人だったなんて……エイミー、まだ心の準備が……」
「ちょ、ちょっと待てい！！何故そうなる！？」
「だってご主人様の一番好きなものっていったら、やっぱりエイミーのことですから……」
「ちゃうちゃう！」
「ご主人様がそんなにエイミーのことを気にかけてくださってたなんて……」
「だから違うって！」
「恥ずかしがらなくってもいいんですぅ。エイミーとご主人様は、結ばれる運命の赤い糸で結ばれているんですから……」
「なんでやねん！！」
「いいんです！エイミー、ご主人様のためなら……」
　駄目だこりゃ。
　俺はふぅっと溜め息を吐くと、服を脱ぎ始めたエイミーを見ないようにしながらそっと部屋を後にした。
「ご、ご主人様ぁ！！どこいっちゃったんですかぁ！？」
　そんなエイミーの絶叫が聞こえてきたのは俺が部屋を出てから５分後、カレーを作るため冷蔵庫から野菜を出していたときのことであった。