ふわりふわり
　いつのまにか静かな夜の町に雪が降り始めています。
　はーっと吐き出す白い息が、夜の闇に溶けこんでいきます。
　こんにちわ。水無川蜜柑です。
　……って、今はこんばんわですね。
　いつもの調子でやってしまいました。ごめんなさい。
　なんだか寒いと思っていたのですが、道理で納得がいきました。
　雪って綺麗ですよね。白い妖精が華麗なダンスを舞っているようにも見えますし、天使の羽が風にのって泳いでいるようにも見えます。
　きっと朝になれば、街中が銀色の世界となって幻想的な世界へと変身を遂げていることでしょう。
　なんだか今からとっても楽しみです。
　わたしは今、夜の街中を歩いています。
　でも、決して徘徊というわけではありませんよ？
　実はその……なんと申しましょうか……
　お恥ずかしながら、お腹が空いちゃいまして……
　いつもならこんなことはないんですよ？
　もちろん、冷蔵庫の中も捜しました。
　でも、お父さんとお母さんが旅行中なので、冷蔵庫の中身を補充しておくのをすっかり忘れていたんです。
　ですから、目が覚めてしまったので夜風にあたりにいこうかなぁ……などと思いまして……
　ああっ！やっぱりわたしがいけないんですよね！！
　ごめんなさい、ごめんなさい！！
　……はぁ、今日のわたしってなんだか謝ってばかりですよね。
　いけないいけない。もっと自分に自信を持たなくっちゃ。
　それにしても……お腹空きました……
　きゅぅ〜〜
　お腹の音が小さく鳴り響きます。
　でも、どなたもいらっしゃらないのでよかったです。
　こんな姿、はっちゃんやわかちゃんにお見せるることできません。もちろん晶君にも、です。
　夜の町って怖いくらいに静かですし、それに寒いので余計に音が大きく響いて、とっても恥ずかしいです。
　……あっ、目的地が見えてきました。
　こんな夜中にやってるお店、そう、コンビニエンスストア、略してコンビニです。
　このような時って、コンビニのありがたさと言うものを実感できますよね。
　それじゃあ、早速入りましょう。