（イラスト／双神双樹さん）
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「るんるんらーん♪」
今日は年に１度のお祭り。っていっても、神様を祭ったり豊作を祈願したりするお祭りじゃなくって、世界中のあちこちから商人さんが集まってきて市を開催する、通称『骨董市』のことなんだけどね。
結構掘り出し物とかあったりするから、こまめにチェックしないと後悔することになるんだよね。
おかげで去年は酷い目にあったし。今年は同じ失敗を繰り返さないようにしなくっちゃ。
昨日までなんの変哲もない広大な草原だったところが、あっという間に人だかりの山ができてるんだもん。毎年そうだけど、この光景を見ると凄いなぁって感心しちゃうよね。
さーて……わたしもいいモノ見つけなくっちゃ。
あの防具もいいし……このアクセサリーもかわいいし……
あーっ、もう色々目移りしちゃってなかなか決まらないよー。
こんなことならもうちょっと軍資金用いしてくればよかったなぁ……
あれ？
なんだろ？あのお店？？
怪しげなツボや奇怪なお面とかがいっぱいならんでるけど……あんなの欲しがる人、いるのかなぁ？？
まぁ、世の中にはモノ好きな人もたっくさんいるもんね。
わたしは欲しくないけど。
でも……なんだかちょっと気になるなぁ……
ちょっといってみよっと。
「いらっしゃーい」
わたしを出迎えてくれたのは、コレまた風貌が怪しげなおじさん。
これじゃあお客さんがよりつかないような気もするんだけど……商人には色々変わった人がいるからなぁ。
うーん……やっぱり、わたしの欲しい物はないなぁ……
「おじさん、なにか掘り出し物ある？」
「……もちろん、あるよ」
おじさんは怪しくフフフって笑うと、ゴソゴソと古い箱をとりだした。
「おじさん、なにそれ？」
「コレかい？コレはだね……ちょっとしたお宝さ」
おじさんは意味深な言葉をいって箱のふたをあける。
「あっ！！」
わたしはそれを見て、思わず声をあげちゃった。
それは、手ごろな大きさで、丸くって、透き通った青色をしている。
「セラミックボールじゃない！？
まさかこんなセラミックボールがでてくるなんて……
「うわぁ、すっごく綺麗……」
「おっ。お嬢ちゃんなかなか通だねぇ。このセラミックボールのよさがわかるなんて」
「当然じゃない。だってわたし、セラミックボール使いだもん」
「そうかそうか。なら話は早い。こーゆーいいものこそ、お嬢ちゃんのようなカワイイ人に似合うもんだよ」
「そんな、カワイイだなんて」
もぅ、おじさんったら。
でも、御世辞でもやっぱりちょっと嬉しいな。
「おじさん、そのセラミックボールいくら？？」
「こいつはちょっと値がはるぜ」
おじさんはゴソゴソっと、声を潜めて値段をいう。
「！！そんなにするの！？」
それを聞いてビックリ。だって今の持ち合わせじゃ、とても買えそうにないくらい高いんだもん。
「おじさん、もっと安くならない？」
「安く？うーん……ちょっと難しいなぁ……」
「そこをなんとか！！ね？おねがーい！！」
「うーん……」
わたしが必至で手をあわせて頼みこむと、おじさんは腕組みしながらしばらく黙り込むと、大きく頷いた。
「よし、お嬢ちゃんカワイイし、特別にまけてあげよう」
「ホント！？おじさん、ありがとー！！」
商談成立。というわけでわたしは持っていたお金を全部払ってセラミックボールを購入。
うーん、いい買物したなぁ。
コレしか買えなかったけど、とってもいいもの買えたから満足かな？
さーて、帰ろっと。家に帰ったら、早速磨かなくっちゃね♪