「ふわぁ〜……今日も疲れたなぁ……クシュン」
　うずめは大きな欠伸をした後、小さなくしゃみをした。
「最近寒いからなぁ……今日はちょっと暖かくして寝よっと」
　そして電気を消して、ベッドの中へともぐりこむ。
「おやすみなさい、っと」
　しばらくもしないうちに、スヤスヤと寝息を立て始めた。

　それから時が流れて丑三つ時。
　突然、うずめの部屋に現れる人影。
　それはうずめの所有するドールの一体、ゴスロリ少女の小明であった。
　最も今は、ゴスロリファッションではなくパジャマ姿であるが。
「マスター……」
　小明は頬を赤らめながらうずめをみた。
「マスターの願いをかなえることが、私たちドールの役目……だから、私は……」
　そして意を決したように、もぞもぞとうずめの蒲団の中にもぐりこんだ

　さらに時が流れて朝。
「マスター！いつまで寝てるのー！」
　いつものように、ささらがうずめの布団をゆさゆさと揺さぶる
「うーん……あと5分だけ……」
「あんたの5分は、いつも1時間でしょうが！」
　ささらはため息をつくと、にやりと笑った。
「そんな悪いマスターは、こうだぞー！！」
　そう宣言するなり、一気に布団をめくり上げる。
　そしてそのまま固まった。
　うずめの傍らには、寄り添うように寝ている小明の姿があったのだ。
「なななな！！」
　ささらの顔が、みるみる真っ赤になっていく。
「何してんのよあんたは―！！」
　そして絶叫しながら小明を指さす。
「マスターに添い寝」
　小明は目を開けると、悪びれる様子もなく、平然と答えた。
「マスターがあったかくして寝たいって言ったから、私はその願いに応えただけ。ドールとして当然」
「ぐっ！！」
　ささらは言葉に詰まるが、すぐに応戦する。
「だ、だったら、今日はあたしがうずめと寝る！！小明、あんたは起こす役よ！」
「不許可！」
　その言葉に、不満げな表情を作る小明。
「ちょっと待ちなさい！」
　しかし、その二人に割って入る闖入者が現れた。
「うずめちゃんと添い寝するのは、私の役目よ！！あなたたちドールは引っ込んでなさい！」
　うずめの部屋の現れた乱入者、まないは平然と言ってのける。
「あたしよ！」
「私！」
「私だってば！」
　そして三者三様の言い合い。
「ふわぁ〜……おはよ。……ほぇ？」
　そんな様子を、目覚めたばかりのうずめが、寝ぼけ眼をこすりながらポカーンとした様子で眺めていた。