「ああん……ダメぇ功司君……」
「はぁはぁはぁ……そんなこと言われても……」
「入れるところが……違うよぉ……」
「細かい事は気にするな。俺はコッチのほうがいいんだ」
「功司君がよくっても……」
「わかったって。こっちに入れればいいんだろ？」
「あっ……うん、そう……その調子……」
「それじゃあ一気に」
「ああっ！だ、ダメぇ功司君。そんな乱暴にしちゃ」
「それじゃあ、どうしろというんだ？」
「最初はゆっくり、そのうちスピードを上げていけばいいんだからぁ。ねっ？」
「わかったよ」
「う、うん！その調子！！頑張って功司君！！」
「さ、沙夜！！俺！！」
「もうすぐだから！！あと少し！！」
「しゃーーーーーーーーーーーーーーーー！！」
　俺はそのまま椅子に凭（もた）れる。
　いいようのない快感が体中を駆け巡っていく。
「はぁはぁ……頑張ったね、功司君」
　沙夜が微笑みかけてくる。
「どう？意外と簡単でしょ？」
「まぁ、沙夜の教え方がよかったからな」
　俺は疲れきった表情で答える。
「数式なんて、基本さえしっかり出来てればあとは応用するだけなんだからぁ」
「でも俺、数学は嫌いになるかも。わけわからんものが多いし、ｓｉｎ（サイン）ｃｏｓ（コサイン）ｔａｎ（タンジェント）なんてさっぱりチンプンカンプンでややこしすぎる」
「功司君らしいかも」
　苦笑する沙夜。
「しっかし、なんで沙夜は白衣なんか来てるんだ？オマケに紛らわしい声までだしやがって」
「だ、だって物理の先生って白衣着てるじゃない。それに、功司君だって紛らわしい言葉いってたよぉ！」
「俺は沙夜に合わせただけだ」
「もぅ！！功司君の意地悪！！」
　沙夜はムスッと頬を膨らませる。
「それなら、もう勉強見てあげないんだから」
「そんなこと言うなよ、沙夜。俺も頑張るから」
「功司君……」
「だって、夜はまだまだ始まったばかりなんだろ？」
「……うん……」
　沙夜は頬を紅く染める。
「あたしも……頑張るから……」
　そして俺達の夜の勉強はまだまだ続くのであった。