ピピピピピピピピピ

「う、うーん……」
　けたたましく鳴り響く目覚し時計のアラームを解除し、時刻を確認。
　そのままベッドから抜け出しカーテンと窓を開け、部屋の中に朝陽と新鮮な空気を流し込む。
　空模様は相変わらずの快晴で、雲ひとつない青空が広がっている。
　今日は優季と一緒の登校２日目。
　毎日が記念日というわけではないが、それでも今日は俺的には記念日だったりする。
　なんせ今日は優季が手作りの弁当を作ってきてくれることになってるからな。
　一体どんな弁当を作ってきてくれるんだろう？
　たこさんウインナー？それともふんわりした真っ黄色の卵焼き？
　ご飯の中央にハートマークとか描かれてたりしたらかなり恥ずかしいかも……優季ならやりかねないし。
「さて、と」
　いつものように身支度を整え、朝食を済ませる。
　窓も閉めて、戸締りもオッケー。
　後は優季との待ち合わせ場所の向かうだけ……

　ピンポーン

　突然、玄関のチャイムが鳴り響く。
　一体誰だ？こんな朝早くに。
「はーい」
　玄関に行くと、玄関のドアのすりガラスの向こうに、見慣れた制服のシルエットが。
「このみか？」
「うん。そうだよ」
　俺は玄関の戸を開ける。そこにはカバンを持った制服姿のこのみが立っていた。
「どうしたんだ？こんなに朝早く」
　俺が不思議そうに尋ねると、このみはムッとしたように頬を膨らませた。
「酷いよタカくん！昨日だってこのみのこと置いてけぼりにして！今日だってこのみのこと置いてけぼりにしようとしたでしょ！だから置いてかれないように迎えに来たの！！」
「あっ……いや、それはだな……」
「というわけで、罰として、タカくんにはこのみを遊園地に連れてくことを要求するのであります！」
　このみは一方的にまくし立てると、途端に頬を緩めた。
「でへへ」
　あまりの豹変ぶりに、俺は思わず身構える。
「な、なんだよ……」
「いいからいいから」
　なにがいいんだかまったくわからないんだが、俺はこのみに促されるまま、家を出た。