二人は新幹線に乗り込むと、指定されている番号の席に座った。

　新幹線が動き出し、目的地へと向かって走りだす。

　この東北新幹線は、連結されているＭＡＸやまびこのように２階建て車両もあれば、つばさのように普通の踏み切りのある線路を走る新幹線もある。

　他にもこまち、はやて、なすのなど、様々な名前のものがある。

　ただ昔はあおばという各駅停車のものがあったのだが、残念ながら今はなくなってしまったらしい。

　小山、宇都宮、那須塩原といった駅に停車しては「各駅停車ってヤダなぁ〜」と呟いていた昔を、シェラはしんみりと思い出していた。

「さぁ、早速駅弁を戴きましょう」

　そんな心も知らず、イリスは買ってきた駅弁をあける。

「もぅ！イリスってば風流っていうものがないんだから！！」

　シェラはプンプンと怒りながら、駅弁の蓋を開けた。

「『北海味メッセ』？うわぁ。いろんな海の具材がぎっしり詰まってるんだね」

「そうね。とりあえず、そのウニを……」

「だめぇ！！」

　こっそり伸びてきたイリスの魔手を、シェラはすかさずブロックした。

「このウニはボクのだもん！イリスは自分の食べなよ！！」

「何よ。さっきまで駅弁いらないっていってたくせに」

「そんなこと言ってないもん！」

　シェラはむくれながらウニとご飯を口の中に運ぶ。

　料と味と値段が見合ってないような気がしたが、それなりにおいしい味がした。

　そして新幹線は、刻一刻と郡山に近づいていた。