「ふぅ〜」

　郡山を降りて、トイレに立ち寄ったあと、待合室に戻ってきた。

「それじゃあシェラ、行きましょうか」

「うん」

　二人は荷物を確認し、６番ホームに向かう。

「あっ！？」

　しかし時刻を確認して、二人は唖然となった。

　なんと２分前に列車は出発し、次の列車がくるまでに、１時間近くもあるのだ。

「シェ〜ラ〜！！」

　イリスは般若の形相でシェラに迫る。

「あんたがトイレ長いからイケナイのよ！！」

「な、なんだよぅ！！イリスがあんなにジュース飲ませるからいけないんじゃないか！！」

　明らかに不利とわかりつつも、シェラは必死で弁解する。

　もちろん、シェラの頭は罪悪感でいっぱいだ。

（どうしよう……）

　シェラはキョロキョロと辺りを見回す。

「あっ！？」

　すると、電光掲示板に『臨時列車』の４文字が見えた。

「イリス、アレに乗っていこうよ」

「はぁ？『臨時列車』……って、行き先が三春じゃないのよ！！」

「あはは……やっぱダメだよね……」

　シェラはガクッと肩を落とす。

　というのも目的地の要田は、三春の次の駅なのだ。

　これでは臨時列車に乗る意味がない。

「はぁ……ゴメンねイリス……」

　シェラは白旗をあげ、ばつが悪そうに謝る。

「もぅ、しょうがないわね。とりあえず、ホームに行きましょ」

　イリスは軽く溜息をついて、シェラの肩をぽんと軽く叩いた。