ＪＲ長野駅へと引き返してきた二人は、運賃表とにらめっこしながら切符を買うと、自動改札機を抜け、階段を降りてホームへと向かった。

　飯山線のホームは信越線の延長線上、奥まったところにあり、高崎駅の八高線と同じような役割を果たしている。

　飯山線には過去一度、飯山へぶらりと遊びにいったときにしか利用したことがない。

　２両編成の列車は既に停車していた。

「とりあえず、ジュースでも」

　ホームの自販機で冷たいレモンティーを２つ買い、シェラはそれをイリスに渡して列車のドアを開ける開ボタンを押す。

　ピコーンピコーンという音ともにドアが開き、二人は列車の中へと入って閉ボタンを押し、ドアを閉めた。

「しなの鉄道の鈍行はドアが手動式だけど、これも結構面白いよね」

「そんな事言ってないで、さっさと空いてる席を見つける」

「はぁ〜い」

　シェラを先頭に二人はずんずんと歩いていく。

　幸いなことに、先頭車両に対面式の二人がけの席が空いていた。

　二人はそこへと座る。

　運転席のほうには何故か警官が立っていた。

「最近テロが多いからねぇ」

「見まわりもホント大変だよね」

　やがて警官が列車の外に出ていってから程なくして、出発を告げるベルが鳴り響いた。