「ついちゃったね……」
「ええ、そうですね……」
二人は力ない足取りで電車を下りる。
するとどうだろう。他の車輛からもぞろぞろと乗客が降りてくるではないか。
その人数は少なく数えても２０人は軽く超えていた。
「えーっと、エミルの話だとここの駅の利用者って、１日平均１７人だっけ？」
「その筈ですけど……」
「とりあえずエミルはウソツキってことで決定だね。安中榛名の時はボク達しか降りなかったから不安でいっぱいだったけど、秘境駅恐れるに足りずって感じかな？」
シェラはカバンの中からカメラを取り出すと、ホームの写真撮影を行った。
果てしなく暗闇の空間が広がっており、待合室に照らされた電気の灯かりがぼんやりホームを照らしている。
「ま、トンネルの中にある駅なんて珍しくないと思うよ」
シェラは数枚の写真を撮り、胸ポケットにカメラを収めた。