最初の情報が流れてから２０分。

　時折車内放送が流れるものの、同じアナウンスの繰り返しで、状況が一向に伝わってこない。

　これでは、乗り換えるべきか留まるべきか判断に困ってしまう。

（どうしようかなぁ……）

　シェラも判断しかねていた。

　そして。車内放送５回目にして、ついに進展があった。

「お客様にお知らせいたします。先程熊谷にてお客様が線路に転落される事故が発生いたしました。現在、救出活動をしておりますが、運行再開の目処は立っておりません。お客様にはお急ぎのところご迷惑をおかけしますが、もうしばらくお待ちください」

「救助活動じゃなくて遺体回収じゃん」

　シェラは咄嗟に突っ込みを入れた。

　ただの公衆立ち入りから線路転落に事故レベルが格段にアップしているが、ただの線路転落でこんなに時間がかかるわけがない。

　極まれに本当に生きていてこんなに時間がかかることもあるが、新幹線でそれは考えづらかった。

「ほーんと、ＪＲって役に立たないよね。最初からしっかりと情報を伝えてれば混乱起きなくてすむのに」

　シェラは大きく欠伸をした。