最初の一報から既に４０分以上が経過。シェラがシートにもたれかかって目を瞑っていると、もう何度目か忘れてしまったくらい流されている車内放送が流れてきた。

「お客様にご連絡いたします。熊谷にて、走行中の上越新幹線とき号からお客様が転落しました。現在、人身事故の影響で、ダイヤに大幅な乱れが出ております。ただいま最終的な安全確認を行っており、安全が確認でき次第この列車も発車となります。運転再開見込みは１７時となっております」

「１７時〜！？」

　シェラは慌てて携帯電話の時刻を確認する。

　１５時４０分。発車までには相当時間があった。

　しかも、その時刻に必ず発車できるとは限らない。場合によっては遅れることも予想される。

「もう我慢できない！こんなへっぽこ列車乗ってらんない！！ファッ○ン！！」

　とても女神とは思えないようなダーティーな言葉を吐き捨てるように言うと、シェラは荷物を片手に新幹線を飛び出し、エスカレーターを駆け上がっていった。

　線路内公衆立ち入りから人身事故にグレードアップしたが、情報を小出しにすると言うせこいやり方には腹立たしささえ覚えてくる。

　とりあえず、高崎まで出て、それからルートを決めることにした。