さて、今日はどうやって帰ろうかなぁ。
「迫られていたのはボクじゃなくて湖さんだけどね」
うるせー！相手がいないのにどないせえちゅーねん！
「まずは競馬引退かな？それから、即売会引退」
いやいや、そこは継続だろ常考。
「どうでもいいけど、早く帰るルート決めてよ」
それじゃあ……１）北陸新幹線ルート ２）しなの鉄道軽井沢ルート ３）小海線小諸ルート ４）中央線松本あずさルート ５）中央線名古屋ルート ６）信越本線直江津ルート どれにしよう？
「１）の新幹線ルートで」
却下。面白くない。
「えー？じゃあ……」
５）と６）は遠すぎるから、これも却下だな
「自分で上げたくせに……たまにはあずさ使って帰れば？」
そうだな……たまには碓氷峠を越えるとするか。２）で。
「おい！」
そうと決まれば。急げ。
「ちょ、ちょっと湖さん！」
シェラ達は上田駅の駅舎の中へと入っていく。
上田駅の駅舎は２階構造になっていて、１階にはＪＲ北陸新幹線上田駅の改札が、２階にはＪＲ信越本線から第三セクターのしなの鉄道に格下げされたしなの鉄道上田駅の改札、さらに上田交通別所線上田駅の改札が存在していた。
筆者達が上田駅を訪れる場合は、大抵１階で用を済ませてしまうので、２階に上がることは滅多にない。
しかし今回は、そのしなの鉄道を使うということで、久方ぶりに２階改札へのエスカレーターに乗った。
「まったく……最初から決めてたなら、選択肢なんか出さないでよ」
いや、決めてないぞ？お前の答え聞いてから決めた。
「天邪鬼！」
２階につくと、まずはしなの鉄道の券売機へと向かう。
えーっと……軽井沢は……ゲッ！？
「どうしたの？……あっ」
運賃表を見て、シェラも絶句する。
二人が想定していた値段の５割増しであった。
「軽井沢ってこんなに高いんだ？」
ううむ……これでは気が変わって小諸や篠ノ井では降りられないなぁ。
「篠ノ井は別方向だけどね」
とりあえず軽井沢。まぁ、想定の範囲内。
自分に言い聞かせて、切符を購入。
そして、改札を抜けて、１番線ホームへの階段を下りていく。
その途中で、ふと、足を止めざるを得ないポスターを発見した。
こここ、これはーーーーーーーー！！？
「これ？……あーーーーーーーっ！！？」
二人ははその衝撃のポスターの前に、しばし立ち尽くした。
それは「なつまち」のキャラを使った、上田市のお隣の隣の市、小諸市のポスターであった。
「なつまち」、正式名称は「あの夏で待っている」で、2012年01月〜03月まで、AT-X他で放送された、小諸市が舞台のアニメである。
そのアニメに出てくるキャラを使ったポスターに目が釘付けになるのは、必然であった。
首から下げていたキャメラケースのファスナーをあけカメラを取り出し、パワーオンにしてそのポスターを撮影する。
小諸市、始まったな！！
「いや、アニメはとっくに終わってるけどね……」
よし、次は携帯で激写だ！！
パシャパシャパシャ
よし、これを送信、と。タイトルは「小諸市始まったな！」で。
「よくやるよ……」
送信完了……それじゃあ、行こうか。
「そうだね……」
シェラ達は階段を下りていく。
そして、１階にある、２面３線式の１番ホームに降り立った。
程なくして普通列車軽井沢行３両編成が入線してきたので、２人は２号車に乗り込んだ。