東京駅に着いた二人は、足早に京葉線ホームへと向かう。

　東京駅の京葉線ホームは中央線からは500M以上離れており、かなり遠い。

　中央線のホームからエスカレーターを降り、新幹線改札前を横切って、地下へ地下へと歩いて行く。

　その途中で、いったん改札を抜け出た。

「とりあえずみどりの窓口で切符買わないと」

「でも、そのみどりの窓口がないですよ？」

「えっ！？」

　シェラは辺りを見回す。

　改札窓口は閉鎖されていて、みどりの窓口はどこにも見当たらなかった。

「仕方ないから、券売機で特急券買おう」

　シェラは券売機にお金を入れて、タッチパネルを操作する。

「そういえば、今回はなんていう駅に行くんですか？」

　レイアはタッチパネルを操作するシェラに質問した。

「うんとね。行川アイランド」

「ナメガワアイランド？聞いたことないんですけど、どんなところなんですか？」

「テーマパークなんだって」

「テーマパーク？」

　レイアはその言葉に首をかしげる。

　それは、彼女の聞いたことのないテーマパークであった。

　一抹の不安を覚える。

　しかし、そんなレイアとは対照的に、テーマパークで遊ぶことで頭がいっぱいのシェラは、笑顔で券売機と格闘していた。

「えーっと。この金額以上の区間を買う場合はこのボタンを押して……あれ？」

　そこで、初めてシェラの動作が止まる。

　行川アイランドの文字が、どこにもないのだ。

「え？……えっ！？」

　シェラはもう一度券売機の画面を確認する。

　確かにナ行の駅名を表示している。しかし、目的の駅名はない。

「どうするんですか？」

　レイアが尋ねる。

　シェラは「うー」と小さく唸りながら目を閉じる。

　しかし、すぐさま目を開いた。

「取りあえず、一番高い切符を買おう」

　言うや否や、乗車券の中で一番高い切符を購入し、レイアに渡す。

「で、この切符を特急の車内で区間変更してもらうから」

「わかりました」

　レイアは切符を受け取り頷く。

　そして二人とも再度改札を抜けて、ホームに停車している特急わかしお号に乗り込んだ。