放課後、マリィの予告通り、俺達は図書室に集合していた。
　まぁ、集合というより、召集、いや召喚といった言葉のほうが正しいと思うが。
　集まったメンバーは俺、マリィ、瑞希、静乃のいつもの面々に加えて、図書当番をしていた花乃香、それにたまたま学校に来ていたみこピーの６人だ。
　その６人が、長方形の机を囲むようにして座っている。
　マリィ、静乃、瑞希は小難しい顔を、対照的に花乃香は何故か楽しそうな顔を、みこピーは困惑した表情を浮かべている。
　この花乃香の態度は、正直、俺も戸惑いを覚えずにはいられなかった。
　いつもだったら「図書室で騒がないで！！」ときつく注意するはずの花乃香だが、今日はむしろ積極的に参加していて、図書室も強制閉室にしてしまったのである。
　つまり、図書室にいるのは俺達６人だけ、ということになる。
「いったい誰よ！？こんな悪趣味の手紙送ってきたのは！？」
　真っ先に口を開いたのは、瑞希だった。
「マリィ！！貴方がしっかりしてないから、功司君が命を狙われるようなことになるのよ！！罰として、今すぐ功司君と別れなさい！！」
「そうですよ！！マリィ先輩は責任を取って、お兄様と即刻別れるべきです！！」
　静乃も瑞希に加勢する。
　当然の如く、マリィは眉を吊り上げて、真っ向から反論した。
「ちょっと！なんでそうなるのよ！？あたしは絶対功司君と別れませんからね！！っていうか、怪盗ルーナの正体って、瑞希達じゃないの！？」
「私はこんな回りくどいことしませんっ！」
「そうですよ！！こんなことするくらいなら、手っ取り早く、マリィ先輩を向こうの世界に追い返します！！」
　マリィと瑞希＆静乃は激しい火花を散らす。
「ちょ、ちょっと落ち着いてよ３人とも！！」
　たまらず、みこピーがなだめに入る。
　一方、花乃香はというと……
「…………」
　一心不乱にメモを取っていた。
　いつもなら図書室で騒がれるのを最も嫌う奴が、今日に限って黙ってるなんて……かなり怪しい。
「なぁ花乃香。一体何をメモってるんだ？」
「見ないで！！」
　俺が覗き込もうとすると、花乃香はメモを手で覆い隠してしまった。
　ますます怪しい。
「……まぁ、それはともかく」
　瑞希がコホンと咳払いをした。
「今回はいがみ合ってる場合じゃないわ。なんたって、功司君の命の危機なんですもの。呉越同舟だけど、みんなで力をあわせて功司君を守りましょう！」
「瑞希先輩……はいっ！」
「うん！みんな、頑張ろうねっ！！」
　瑞希の号令に、静乃とマリィは力強く頷く。
　そして三人で手を重ね合わせた。
「それじゃあ、今日の夜、功司君の家に集合よ！！」
　瑞希の言葉に、その場にいた全員が、力強く頷いた。